仕事内容 仕事一覧 アトリエ系 組織設計事務所 ハウスメーカー など

今回のテーマは、筆者の個人的経験や見聞からの一次情報で、雑談的な回になります。

ただ、リアルに組織に属した人ならではの情報ですので、ナカナカ興味深い内容になったと思います。
最後まで読んでいただければ、嬉しいです☺️
(筆者の情報ソースについては、最後に記載)
もくじ
【前半】就職先別(メリット・デメリット) 箇条書き 仕事一覧
・アトリエ系設計事務所
・組織設計事務所
・ハウスメーカー
・不動産系・地元工務店
・国家公務員系の技術職
【後半】建築士を取り巻く状況変化 資格 女性 きつい仕事
・建築士になるルート
(学歴不要パターン有)
・建築士のステイタス
・一級建築士の資格
・時代の変化と仕事内容
建築設計の流れについて(概要)
〈 設計フェーズ 〉
【基本構想】
➡︎【基本設計】
➡︎【実施設計(建物設計図)】
確認申請(+様々な許可申請あり)
〈 工事フェーズ 〉
➡︎【工事監理】工事着工(開始)
➡︎ 完了検査
(+様々な許可の完了検査あり)
➡︎ 工事竣工(引渡し)
就職先別(メリット・デメリット)
記事は、意匠設計よりな目線です。
アトリエ系設計事務所
メリット)
・建築家の末端でいられる経験。高揚感。
・事務所によっては、仕事スケールが大きい。
・「実施設計図」を外注せず、組織内で自前で描いていること多い。
・クリエイティブ色強く自由(時間、服装、思想)
・思考にふける時間が許される土壌がある。
・事務所規模によるが、アットホームで先輩の面倒見がよい。(学生相手だったからかも)
・事務所がオシャレ
・働いている人もオシャレ
・世界を中心にプロジェクトが動いている事務所は人材もグローバル
デメリット)
・建築全般の仕事にいえるが納期厳守。
・そのため、徹夜したりして身体を酷使しがち。
・マンガ(ハチミツとクローバー:羽海野チカ)を読むと小規模アトリエ系のイメージわきます。
・所長(建築家)は大体ワンマンです。
(そのためか、ナンバー2はスネ夫キャラみたいな感じになる…。)
・金銭の支払いに渋い傾向あり。
(事務所規模によると思うが、社員は薄給。)
(基本学生に、バイト代は出したくない。…なぜなら勉強させてあげているスタンスだから。)
・優秀な人材が、卒業後(筆者の学生時代はネットなしで皆で情弱だった)アトリエ系に就職するが、待遇などから数年後には退職。独立後の仕事は住宅設計メインでスタートとなる。独立すると個人の営業力が必須で苦労。
・待遇からくる不満からか…、プライド高すぎな所員も多い。
独立組織事務所
こちらも、規模や組織による。
メリット)
・組織のブランド力に比例して仕事のスケールも大きくなる。
・組織内で、設計者は、建築技術者の花形。
・有名大手組織事務所になると、設計者はガチのエリートの世界
・建設的に物事を考えられるクレバーな人が多いので、人間関係が楽。
・今現在、建築理系学生は、院以上の学歴がデフォルト。(1970年代以降〜)
・給与水準高め。
・卒業後の最初に、大手に入っておくと今後の転職も有利で楽。
・事務所によっては、アトリエ系な自由な雰囲気のところもある。
・職場環境がいい(図書館資料や、雑誌、飲み物、筆記用具フリーなど)
・当たり前に、皆、一級建築士。
(ゼネコン内の設計部)
・スーパーゼネコン「設計部」は、国立大の院卒以上の学歴が基本系と聞く。社内技術者の中でも一目おかれる特別感あり。
・ゼネコンは、設計・施工受注も多い。そのため、同じ会社内で、設計部より工事部側の力関係が強い。設計のミスを工事側でフォロー。
→設計図のつめが甘いと、同じ組織の工事部より直に詰められる(工事金額に影響する)ので、収まり(設計詳細)に強くなる。
デメリット)
・建築全般の仕事にいえるが、納期厳守。
・納期前は、過酷な勤務になりがち。
・事務所によっては、服装規定が厳しくクリエイティブ的な雰囲気なし。(背広着用など)
・就活競争が激しい。
有名大学院卒で学生時代に受賞歴ある猛者揃い。過酷なプレゼンアピール競争になる。
→ただ大手事務所によっては、学生アルバイトから、派遣から社員になった、等の他の扉ルートで入社してるパターンの人がいたりする。
・仕事のスケールの大きさから、それぞれの分野のパーツ仕事になりがち。
・組織は、仕事が細分業化しているところもあり、その場合、確認申請に疎く、実施設計図が描けない人材になる可能性あり。実施設計図作成を外注に頼む事務所も多い。(中規模の事務所に多い印象)
・請負う工事金額が桁違いに大きいため、プレッシャーを感じ辛いことがある。(確認申請がおりる前など)
・スーパーゼネコンなど、仕事をとってくる営業や人事が技術者以外の場合、「文系に支配されている」という社内に対する不満が生じがち。(赤字の仕事を振られて利益を求められたり、不本意な人事など)
他)
スーパーゼネコンの工事部
・最近は、中堅の工事現場担当技術者からのステップアップ転職が増えてきた印象あり。
・工事現場の仕事は同様に激務だが同じ内容の仕事をしていても、スーパーゼネコンに転職で給料が大きく増えるとのこと。技術者個人や家族には、よろこばしいことかと思う。
ハウスメーカー有名系(戸建て住宅)
メリット・デメリット)
・仕事の合理性から、それぞれのパーツ仕事になりがち。
・技術力が高い。施工方法が確立されており安心。大手ならではの是正対応が真摯。
・オプション以外の変更追加が、フレキシブルに対応できない。高価になる傾向。
・お客さんと接する設計者と、確認申請対象、工事監理はそれぞれ担当者が分か完全分業化。
建築技術者を単体で総合してみると専門性に欠ける感あり。
・二級建築士の資格までで十分足りる。(住宅2階建て設計メインのため)
・一級建築士はランク上の立ち位置。取得を推奨されている。
(対顧客へのステイタスと、実際に3階建てやアパートの設計ができる側面から)
・キャリアの最初が、戸建て住宅特化だと、転職先など設計範囲の広がりに限界あり。
不動産系・地元工務店 小規模系(戸建て住宅)
メリット・デメリット)
・会社によって、建築技術の力量の差が大きい。
・不動産系は、特に、売り上げ数字主義になりがち。
・地元工務店:社長が大体ワンマン、家族経営型で、親族が役員や社員で勤務している。親族外は冷遇されがち。
(社長のムスメが事務職で入っていたりするが、性格が大変キツイ。苦笑)
・不動産系の営業の体育会系の縦社会ノリは、(今も変わらずなら)時代遅れかと思う。
国家公務員系の技術職
メリット・デメリット)
・公務員で安定している。
・国家二・三種合格者が建物組織(国立大学など)に割り当てられている。
→三種枠:高卒、二種枠:専門卒・短大卒と、大卒。(一種はキャリアで省庁勤務。)
・お上(国交省などの省庁)からくる「〇〇調査」(例:アスベスト・面積)の報告物作成に毎回、振り回されてる。
・期末には、年度予算消化の仕事をしがち。
・発注者なので、請負的なストレスがない。
(人格的に未熟だと立場的な強みを勘違いし威張っている人も。公務員にありがち…。)
・以前は、技官が自ら実施設計図や監理者を行なっていたが、今現在は、外部設計事務所の仕事になっているとのこと。そのため、建築的な力量不足が顕著になってきている。
・以前は、係長昇進は、一級建築士を取ってからがデフォルトだったが、一級建築士試験の難化で、二級建築士でも昇進できるようになった。
建築士を取り巻く状況変化
学歴不要の建築士ルート
上記に記載した通りですが、関われる建築プロジェクト規模と学歴がある程度、相関する業界です。
ただ、就職先の規模やプロジェクト内容にこだわりなければ、
日本では、大学で建築を専攻しなくても、建築士になれるルートがあります。
参考)受験資格説明有|建築士法改正について(日建学院)(令和2年に受験資格が大改正)
たとえば、中卒でも経験を積んで実務経験7年で2級建築士の受験資格を得られ、2級を合格したらそこから所定の条件を経て、一級建築士受験資格が得られるのです。
これは海外からみると、珍しいパターンです。
海外では、医者のように大学+院(修士)(博士)の専門課程を経て、建築設計の職業につける形です。
そのため、建築士は、医者、弁護士に並ぶほど、ステイタスが高い職業です。
建築設計の日本でのステイタスは低い
日本は、一級建築士の試験の難関度に比べて、建築士のステイタスは低いです。
そのことについて、嘆く風潮もあります。
ただ、個人的には、こういう下克上的なルートがあるのは日本らしくて、いいなあと思っています。
安藤忠雄氏のような、高卒・ボクサー出身の世界的建築家が生まれたりもします。
(超特例だからこそ、その経歴が目立ってます。そのため、従来のエリート建築家(大体が東大工学部建築出身)の一部の長老からはあたりが強くて気の毒な感じです。嫉妬?)
日本は、カーストや労働者階級的な身分制度もないし、上記のようなルートも用意されていて再チャレンジや、やり直しができる土壌があるところは、ステキなところだと個人的に感じています。
一級建築士の資格取得
こちら、上記でも触れましたが、かなりの難関試験です。
ただ、国家資格というのは、ある程度、大学入試の勉強をやりきった人にとっては、勉強のピークの持っていき方など通じるものが多く、数年の受験でちゃんと合格できていたりします。
この資格は、令和に大改正され、以前の卒業して実務経験を数年経た後に初めて受験資格が得られる条件から、学生時代中に受験することができるようになりました。また、一次学科試験の有効期限が3年から5年に延長されたようです。多少は合格のハードルが低くなりました。
ただ、建築学部の学生は課題提出や実験が多くもともとハードなのに加え、資格試験勉強もとなると、大学生時代の余裕は皆無になりそうです。
一級建築士試験は、建築の仕事をする方にあたっては、たとえ長期間の辛いチャレンジになったとしても…諦めずに取得した方がいいです。
二級建築士で十分な建築規模を扱う人でも同様です。
一級建築士と、二級建築士は別ジャンルと考えてよく難易度も桁違いですが、一級建築士の取得のメリットは多大です。
参考)資格の概要|建築士とは?(TAC)
強者揃いの男性中心の建築業界で、若年者や女性は、一級建築士を取得することが、強いヨロイや武器になります。わかりやすい言葉で言うと、「一目置かれる」「なめられずらくなる」ということです。
筆者の経験になりますが、子育てで約10年のブランクありましたが、一級建築士資格を持っていたおかげで再就職(正社員)ができています。
時代の変化と仕事内容 女性 適性 転職先
筆者の世代(1970年代)の設計業務は、そのハードな仕事環境に対応できる人材(たとえば…過酷な納期でも男女問わず徹夜で会社に泊まれるような人)でしたので、女性は結婚や出産での退社がほとんどでした。
長く仕事を続けられるのは、既婚者でもお子さんがいない女性や独身女性くらいでした。その後1980年代の女性は、ママさん建築士も、仕事が続けられる時代に変化しました。振り返っても、時代の境目だったと思います。
筆者は、ブランクを経てアラフォーで再就職でき、今現在、大規模開発の発注側の立場でいます。
実は、設計プランは、施主(お客さん)が主体で、設計者の意向が反映されることは少ないです。(スター建築家などのデザインを求められての設計や、提案型のコンペ物件は別。)
設計に意見を反映したいと言う方は、デベロッパー的な発注側に行った方が、実は、意見が通りやすかったりします。
デベロッパー(例:三菱地所、森ビルなど)
参考)ゼネコンとデベロッパーは、どう違うの? 街や住まいとの関わり合いを解説 | SUUMOお役立ち情報
コツコツと検証するのが好きで図面や模型などの詳細を詰めるのが何より好きな人、人格的に未熟な施主に振り回されることに耐えられないメンタルの人など、さまざまな人がいるでしょう。自分の個性や適正を見極めて立場を選ぶといいかと思います。
筆者の周囲では最近、中堅組織事務所の設備設計士が、大手ディベロッパー側や建築コンサル側に転職しているのが見受けられるようになりました。技術者の不足からくる好条件と、転職する技術者が設計や現場より発注者側の方が業務的にキツくないとわかってきたから、かと思います。
おわりに
建築業界には、何かしら自分の居場所はある。
筆者が建築学科の大学生時代、建築スケッチのえらく上手な人や、男子の建築模型の緻密さに度肝を抜かれ、自分の建築の能力に対する限界が、早々に見えてしまいました。
世の中には、センスと才能と頭脳が、高いレベルで伴っている人もいるものなのです。
ただ、実際の建築の仕事は、分業的なため、凡庸な人間でもできることが沢山ありました。どこかに自分の適正にあった居場所が作れるのです。そのため、筆者も今でも建築の仕事に関わることができています😊
今は、一線で建築設計をしている方々をリスペクトしつつ、自分は発注者側の立場で、やりがいを持って仕事をしています。
個人的には、やっぱり建築に関わるプロジェクトは面白く、好きな仕事でいられています。
ただ令和の今、様々な職種も生まれ、建築という箱モノ作りは、ちょっと時代おくれな感じになってきている気もしています。
今後、建築の仕事の仕方も変化していくことと思いますので、そんな時代の流れと普遍的な仕事術を見極めつつ、常にブラッシュアップした情報を武器に持つ心構えが大事と思っています。
今回は、以上になります。
少しでも、この記事が、誰かの何かの参考になれば幸いです。
それでは、また😊
他の記事も是非、のぞいていってくださいね。
情報ソース先
・時代:(個人的情報経験先)仕事や交流関係からの情報①②、学生時代のバイト③など。
・平成:③工学部建築学科(意匠系ゼミ)所属
・平成:①組織設計事務所等→退職しワンオペ育児で主婦(②時々、建築PJの仕事に集中的に参画)
・平成→令和(今現在):アラフォーで①完全復職(商業系の大規模開発。発注者側。)
建設業界への転職なら【RSG Construction Agent】
紹介)プロのお仕事本
⬇︎こちらは、プロ用のお馴染みの本です。(設計事務所に置いてあります)
プロは、法令集とこういう本で建築基準法類に沿っているか確認したりしています。
こみ入った条件だと、確認申請をくだす審査機関に事前相談したり、 行政に相談(協議)に行ったりします。
新人所員さんたち、がんばって☺️