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#10【階段の寸法と有効活用】設計に『2つ』の方向性|建築の知識|一級建築士カンタン解説

基準の寸法 / ちょうどいい階段の公式 / プラス視点アドバイス

 

ミニよこさん
ミニよこさん

田舎のおばあちゃんちの、2階に上がる階段は急だったなあ。

小さい頃、階段をふみはずし滑ったことがあったよ。

よこさん
よこさん

懐かしいわねえ。

おばあちゃんちは、確か1960年代に建てられているから、

建築基準法が設定(1950年)されている後で、建物内部の寸法基準は決められてたわね。

よこさん
よこさん

実際、建築基準法は最低基準だからその通りに作ると、急な階段になってしまうの。

登り降りしやすい階段寸法の公式はわかっているのよ。

階段設計は、設計者さんの設計の腕💪の見せどころの一つよね。

 

後悔しない家造り!【階段の寸法と有効活用】

 

こんにちは、ヨコタです😊

今回も、今後に住宅計画を考えている方、知識欲の旺盛な方々に、知っておくとお得な建築的知識を、ご紹介したいと思います。

このブログの建築的カテゴリーは、「親しい友人へアドバイスするイメージで、まとめています。

(個人ブログのため、営利企業さんの専門HPとは違う雑多な視点になっているかと思います。毛色の違う解説を楽しんでいただければ嬉しいです。)

ヨコタについてはコチラ→プロフィール

(問題)建築物は自分達の生活に身近でありながら、わかりづらい…

理由の一つに、様々な法的な規制にも基づいて作られている事だと思います。

たしかに、設計の分野の建築計画をするには、さまざまな建築に関する法規を読み解き、理解する必要があります。

ただ、専門的な理解までしなくても、ある程度「知っていれば」建築の専門家(設計者等)に、要望をリクエストすることも可能になれます!(これが当ブログを読むメリットです。←希望的)

今回は、
意識次第で魅力的な計画になる『階段』について、主に住居の視点からお話していきたいと思います。

(記事は、写真やイラスト多めでサクッと読めます。以下)


はじめに 階段の役割と寸法条件

 

 

(大前提)

階段は、災害時における『重要な避難経路』となるため、建物の用途などによって「階段」と「踊り場」の幅が決められている。

 

住宅の場合の基本寸法(建築基準法令)
・住宅の階段は、幅75cm以上、蹴上(けあげ)23cm以下、踏面(ふみづら)15cm以上とする。
・高さ4mを超える階段には、高さ4m以内ごとに踊り場(踏面幅1.2m以上)を設ける必要がある。
・高さ1mを超える階段には、手すりを設ける。手すりのない部分には、側壁等が必要。


使いやすく安全で適切な寸法の計算式って? 階段角度

 

ただ実際は、建築基準法令で決められている寸法は最低の条件ですので、上記の寸法のまま計画すると急な使いづらい階段になってしまいます。

そこで一般的には、
最適な寸法を求める公式や、ちょうどいいと言われる階段の昇降・角度の数値があり、それが使われています。

補足:こちらの数値は、住宅性能評価の2等級以上の条件になっています。(等級の数が多いほど項目条件が増えます。)
↓ 住宅性能表示制度の詳しい説明に参考になるリンクを貼っておきました。
住宅性能評価書とは?どんなことを評価するの?メリットや費用も解説 | SUUMOお役立ち情報


昇降しやすい階段の踏面(ふみづら)と、蹴上(けあげ)の寸法の関係
踏面(ふみづら)と、蹴上(けあげ)の公式

枠内の数値におさめる。

(ふみづら)+{2×(けあげ)} → ⭕️ 55cm以上65cm以下

→「けあげ」と「ふみづら」の寸法次第では、使いやすさだけでなく安全面にも影響します。
→「ふみづら」寸法が大きくなれば、「けあげ」寸法は小さくなるという関係性があります。

普段使っている身近な場所を、意識してみたり、測って調べて見るのも面白いかもしれません。
(子どもの自由研究に使えるかも?)

 


ちょうどいい階段の角度

また、住宅の階段の勾配角度についても
30度〜40度(数字が大きいほど階段の角度がきつくなる)の条件があります。

ちなみにですが…、住宅の建築基準法の上限だと57度です。←かなり急です。

参考)
・公共施設の階段の法的上限は、35度。
・小学校の階段は、約30度です。

※三角定規を思い浮かべてみてください。

57度は約60度と考えると、いかに急かが、イメージできますね。
小学校の階段が約30度ですから、その倍の急角度です。(冒頭会話の祖母宅の階段の登る降りが辛いはずだわ…💧)

 

 


プラス視点『階段』設計のアドバイス 開放感/階段下収納

 

これまで、階段について、さまざまな決まり事を述べてきました。
その最低限の決まりを守りつつ、
次は、プラスアルファで、快適な階段の設計計画の話をしていきたいと思います😊

昇り降りの通路以外の用途を意識して、階段の計画したパターンを
大きく2つに分けてまとめました。

それぞれの目指すライフスタイル、あるいは、与えられた空間条件の中で、どちらに寄せるか、それぞれチョイスしていけばいいと思います。


パターン①  階段部分を魅せつつ開放感を持たせる。

↑↓

パターン②  階段部分のくまない有効活用


① 階段部分を魅せつつ、開放感を持たせる。

具体的手法)
階段の構造美を魅せて活用
→階段全体のデザインで魅せる(螺旋階段など)

→階段部分を両面壁で区画せず、目線を抜けさせる。
→階段部分の吹き抜けを、隣室(玄関、リビング等)に取り込み開放感を拡張させる。
→けこみ板を設けずに、目線を抜けさせる。
→手すりは、ガラス使用、あるいは、アイアンなどを使用し遮らない。

(写真は、鉄骨階段ユニットです。こちらは、強度が強く単体で自立できますが、
踏み板を金属等より強度がないもの(木質等)で作る場合は、階段の片側は壁付とし、もう片側は、アイアンなどの手すりにすると階段自体の強度と開放性を両立できます。(踏板の両側を金属の板(側桁)にして強度を高める方法もあります。)

 


②階段部分のくまない有効活用

具体的手法)
デッドスペースまで、くまなく利用する。
→階段下にスペース(トイレ、収納など)
→収納兼階段、けあげ部に収納

置き家具を減らせ、スッキリ見せる効果もあります。

⬇︎住宅雑誌 ReplanWebマガジンさんの記事が事例写真が多めでキレイですので(①と②の併用型とか)下にリンクを貼っておきます。

階段下収納で、デッドスペースを有効活用。


 

それでは今回は、以上になります。
少しでも、何かの参考や知識になれれば、幸いです。

今後も建築やインテリアの、身近だけどよくわからない…と思われる部分を ピックアップして、ポイントをしぼって解説していけたらと考えています。

それでは、また😊


 

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紹介)プロのお仕事本

⬇︎こちらは、プロ用のお馴染みの本です。(設計事務所に置いてあります)
プロは、法令集とこういう本で建築基準法類に沿っているか確認したりしています。
こみ入った条件だと、確認申請をくだす審査機関に事前相談したり、 行政に相談(協議)に行ったりします。

 


⬇︎こちらはオススメのディテールの基本集です。